No.0001 太陽磁場に異変!? 地球寒冷化の前兆か

 太陽のようすがおかしい。国立天文台によると、11年周期の太陽サイクルで今年あたりが活動の極大期になるはずだが、通常より、2年半ほど遅れているという。しかも、黒点数が過去の極大期よりも少ない。2005年から2011年の7年間の間に、黒点の無い日が814日もあった。これほど少ないのは100数十年ぶりだという。いったい太陽に何がおこっているのだろう。
 20124月、国立天文台の研究者たちは、太陽観測衛星「ひので」の観測データを詳しく解析し、太陽磁場に異常があることを発見した。
 太陽の中心部では核融合反応で水素がヘリウムに変換されている。中心部は、高温高圧のためイオン化しており、これが太陽の自転によって回転するときのダイナモ作用で磁場が発生している。通常は、南極(プラス極)から北極(マイナス極)に向けて磁力線が流れているのだが、なんと、北極の磁場のみが逆転して、両極から赤道に磁力線が向かうという4極構造になっているのだという。
 太陽周期が遅れ、太陽磁場に異変がおこり、黒点数が少ない。これは、過去みおいて太陽活動が停滞期に入るときと似ているのである。
 過去の停滞期とは、最近では、1800年代初めのダルトン極小期、1600年代後半から1700年代初めのマウンダー極小期がある。それ以前についても、植物の化石や氷河などの研究から、周期的に太陽活動に停滞期があったことがわかっている。そして、太陽活動が低いときは、地球の平均気温も低くなっているのだ。
 国立天文台によると、北半球の平均気温はダルトン極小期には0.5℃、マウンダー極小期には0.6℃下がり、日本の京都では、どっちも2.5度下がったという。ダルトン極小期に当たる、江戸時代末期には、隅田川や大阪の淀川が凍結したというが、まさに、寒冷化していたのである。
 黒点数が少ないときは、寒冷化するという関係にあるのはあきらかなようだ。ではなぜ、黒点が少なくなると寒冷化するのか。
太陽活動が停滞すると、太陽磁場が弱まる。すると、地球のまわりを取り囲んでいる磁気圏が弱くなる。そうすると、宇宙空間を飛び交っている高エネルギーの宇宙線が地球大気に飛び込んできやすくなる。宇宙線とは、超新星爆発などが由来の陽子などの粒子の流れだ。
 デンマークの物理学者Henrik Svensmark1958-)は、宇宙線が大気中に飛び込んでくると、ミュー粒子などの二次粒子を発生させ、これが、雲をつくるときの凝結核となるため、雲が増えるのだという。この仮説をスベンスマルク効果と呼ぶ。
雲が増えると日射量が少なくなるので、地球の気温が下がるというわけだ。
 つい先日まで、「温暖化脅威論」が世論を席巻していたが、太陽は、地球寒冷化の可能性を示唆しているようだ。まだ、どうなるかはわからない。
 しかし、温暖化よりも寒冷化のほうが人類にとって深刻な問題である。作物の生産量が激減するからだ。一方で、世界人口はすでに70億を超え、今世紀半ばには、100億人に達するといわれている。
 人口大爆発に寒冷化が加われば、人類にとって壊滅的な悲劇が訪れるかもしれない。その危機を克服するために、そろそろ、寒冷化に対する対策を考えはじめないといけないのではないだろうか。